緊張と緩和と臆病と大胆

書きたいことだけ

まことお兄さんを見て思った、体操とは?

前回の記事の続きです。

前回は、一般的な体操競技とおかいつにおける体操とでは、発信者と受信者の間に逆転現象が生じているのではないか?と考えました。
この記事ではさらに一般的な体操競技とおかいつのパフォーマンスの違いとして、個と集、先端と均等、という点に着目してみます。

まず、個と集について。
男子体操競技は、基本的に個人競技です。
※もちろん例外もあります。
団体総合は、個人総合の積み重ねです。
まことお兄さんがかつてCMで披露していたあん馬も、個人競技の一つです。

このような競技の場合、選手の演技中に他の選手が介入することはできません。
たとえば競技ダンスの場合、複数のカップルが同時にダンスを披露するため、位置取りや競技中の駆け引きが重要になってきますが、体操競技はそうではありません。
ただひたすら、これまで磨きあげてきた己の技を最高の形で披露することに集中すればよく、競技中に同時進行で他の選手の動向を気にする必要はありません。
競技者と採点者との二者関係、場合によってはそれさえも消え失せて、ただ己とだけ向かい合うことが求められます。

それに対し、おかあさんといっしょでは、常にたくさんの子供たちに囲まれた状態の中で、幼い彼ら彼女らを導きつつ、それと同時にお兄さんお姉さん自身も最良のパフォーマンスを発揮し、集団としてより良い形に向かうことが求められます。
心の持ちよう、見るべき場所、耳を傾けるべき音、体の動かし方、体操競技ではおそらく重視されない、声、言葉、表情…何もかもが異なってくるのではないでしょうか。
これが、個と集のお話です。

最後に、先端と均等について。
既にインターネット上で公表されているご経歴からすれば、まことお兄さんは、体操競技界において、すごい人、なのだと思います。
(私の無知さゆえに、彼の業績を適切に評価できないのが申し訳ない)
そして、彼が指導したり、関わってきた選手たちもまた、今日、そして未来の体操界を担うと言っても全く過言ではない、才能と意欲に溢れ、地道な努力を怠らない方々なのだと思います。
順天堂大学体操競技部、と聞いただけで、一般人かつ運動神経絶無の私の背筋は伸びてしまいます。
しかし、そのような素晴らしい方々の下、あるいは背後には、そうなれなかった多くの人たちがいます。
すごい人は、自然発生的に寄り集まるのではなく、幾度もの選別と鍛練を経て、人為的に集められるのだと思います(それが悪いということではない)。
そして、集められたすごい人たちは、そこに集うことのできなかった人たちのことを誰よりもよく知っていますし、選別と鍛練の過程を生き抜いてきています。
だから、とても真面目だったり、素直だったり、そうじゃなくても飲み込みが早かったりと…要は、教える側にとっても、やりやすい部分が多いのではないかと思うのです。
もちろん、頂点を目指すがゆえの厳しさ、大変さはあると思いますが、それとは別の領域のことを言っています。
極端な例を挙げれば、生徒がそもそも授業を受けようとする意志を持っていない、崩壊しているクラスと、生徒それぞれが目標を持って真面目に授業に臨むクラスと、どちらが教師としてやりやすいか、ということです。
エリートって基本的に勤勉で賢いから、教えやすいんですよね。

それに対し、おかあさんといっしょに出てくる子供たちは、最高に自由で最高に可愛くて、もう最高なのですが、前記のような能力による選別は基本的に受けていません。
体操が好きな子、歌が好きな子、読書が好きな子、ごろごろするのが好きな子、おしゃべりが好きな子、みんな違った輝きを持ったままスタジオにやって来ます。
そして時には、心や体が特に敏感、柔らかで、日常生活を送るにもたくさんの試練と冒険を抱えている子もやってきます。
スタジオでは、子供の数と同じだけの数(もっと多いかもしれない)の親御さんも、期待や心配を胸に、我が子を、そしてお兄さんお姉さんを、見守っています。
幼児体操教室で優秀な子だけを見繕って選別してこられたら、番組の進行はきっと楽になるでしょう。
でも、そうはなっていません。平等で、均等です。
これが、選別と均等のお話です。

やっぱり、まことお兄さんの挑戦って、とても大きな冒険で、とてもすごいことのように思えてきました。
(もちろん、あづきお姉さんもですよ!)
同じ体操という単語でも、ここまで向かい合うべきものが違うものかと。

次の記事では、じゃあ、おかいつの体操って、結局何のためにあるの?どうなれば成功なの?
何かクドクド書いてるけど、一体お前は何をまことお兄さんに要求してるんだ?
ということを、前の記事でも触れた「受容」について掘り下げつつ書こうと思います。

そして、私がこんなことをぐだぐだ書いている間に、着実に慣れていき、素敵な笑顔とパフォーマンスを披露している、まことお兄さんとあづきお姉さんなのでした。

まことお兄さんの好きなおにぎりの具は、めんたいこ…語呂が悪くて辛いめんたいこをあえて挙げるということは、本当にめんたいこがお好きなのでしょうね。
あづきお姉さんの梅干しも、王道で良い!
ここから妄想なのですが、「子供向けに、たらこにした方がいいですか?」
「いや、四歳くらいならめんたいこ食べられる子もいると思うし、好きなものを好きって言えばいいよ!そのままいこう!」
「梅干しだとすっぱいですか?大丈夫ですか?」
「梅干しは全然大丈夫だと思うよ!そのままいこう!」
「「はいっ!!」」
みたいな打ち合わせがされてたらとても可愛いな。